2003年スロバキア製日本行き
私のR32はSlovakiaで製造されたことになっている。VWのBratislava工場製。まあ、あっちこっち覗きまくるとMade in Germanyと刻印されたパーツが山ほどついているのだけれど。じゃあ、Slovakia製だからドイツ車にあらずか?と問われると、これはまごう事なきドイツ車の乗り味だったりする。
・・・実は装着されているパーツ(ホイールやマフラー等)のブランドや生産国にひどくコダワリを持った人たちが居て、「言われていたのと違う」だの「訴える」(笑)だの言い出す御仁も現れて、少々辟易しているわけです。どこで誰が造ってたってもういいじゃないか。ちゃんとそのクルマに合わせてまじめに造ってくれれば、信用に足る物であれば、まったくかまわない。(そんな純血主義を問うのはナチスと同じだ。ドイツ車乗りに多いのは困ったものだが・・・)
私が最初に買ったGolfIIは1988年式Wolfsburg工場(ドイツ本社の主幹工場)製だった。93年に中古で手に入れてから定期的にいろいろな消耗部品を自分で交換していくたびに思ったことがある。最初から付いていた部品には「Made in WEST-Germany」と刻印されており、交換のために買ったパーツは「Made in Germany」だったりSpainだったりはたまたCzech Republicと書いてあったり、もちろん南米MexicoやBrazilで造られた物もあった。
1989年にあの「ベルリンの壁」が崩壊してそれ以降、特に旧東欧で作られたものたちがどっさり入ってきたのだ。クルマ自体にももう「WEST-Germany」と書く必要は無くなっていた。あの88年式GolfIIは冷戦の生き証人だったのだ。
その後冷戦は終結したものの東欧では内戦が勃発してしまった。Yugoslaviaのニュースを見ていたとき、Sarajevoの路上で私と同じ色のGolfIIが市街戦で銃弾を避ける盾としてひっくり返されていたのを見た。心が痛んだ。同じ工場で造られた同じクルマは片やTokyoで日々の足として元気に走っているのに、片やSarajevoでは機関銃の弾を受けてもう走れない・・・・自分のクルマをしばらく眺めて、そしてオイルを足して労ってやった。お前の兄弟は市民の盾になっているんだよ、と。
昔話もこのへんで。
今、欧州はゆっくりとEUとして統合する時代なのだ。だから、私のR32がSlovakia製であろうとかまわない。あの旧東欧で本国と同じようにVWが造ったクルマだ、むしろ欲ボケした西欧よりまだ真面目な東欧人が造ったクルマなのだ、喜んで買おう。2003年式GolfIV-R32、こいつは平和の生き証人なのだから。
The comments to this entry are closed.
Comments