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2004.12.30

pf:3

フジコ・ヘミングさん、といえば、
もうご存知の方も多いだろう。
数年前から急速に有名になった、
幻(だった)名ピアニスト。

はっきり言って、私も大好きですが、
どうしても、もう一度、
一曲弾いてほしいのがある。

それは、
ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調op.27-2「月光」第1楽章 L.v.Beethoven

ちゃんとした録音がないのです。

実は、この曲を弾いているフジコさんを見られるのは、
DVDでもあるんだけど、
彼女を再発掘するきっかけともなった
NHKの番組の1シーンで少し流れるだけ。

愛するネコに囲まれながら、タバコを吸いながら
ゆったりと弾いていた。

・・・こんな真摯で穏やかな月光、聴いたことがなかった。

だいたいが、「月光」って重々しくて陰鬱で、
ともすれば唱歌のような教育臭さがあって
(それは、日本の音楽教育が「ドイツ音楽」に偏重しているのもあるが)
あまりいい印象はなかった。いい曲のはずなんだけどね。

その印象を、あのシーンが拭い去った。
フジコさん自身の怒涛のような人生のドキュメントが語られる
そのなかで、あの曲を静かに弾く彼女の姿があった。

声にならない、そういう深い感慨が私に残った。

もう、今になって弾いても違うのかもしれない。
あの時だから、あの演奏なのかもしれない。
あの部屋で、あのネコたちの前だから、弾いたのかもしれない。

でも、フジコ・ヘミングという人間の歴史の持つ奥深さを、
一瞬にして語らしめたあの曲。

本当は、できれば、もう一度きちんと聴いてみたい。
かなわぬ夢か?

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