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2006.11.12

おだいばにて:1

普段の仕事とはおおくくりでは全くジャンルの違う展示会で、
お台場のビックサイトに出張に行っていた。
日本国際工作機械見本市/JIMTOF2006

私の生業である半導体や電子機器にも結局は関連する、
工作機械や工具や測定器たちの巨大な展示会。
あらゆる産業(工業)を支える産業そのものの一大集合。

世界最高精度、世界最高速・・・
他の機械では到達できない結果が得られる装置を
各社それぞれ公開し実動し披露し、売り込んでいた。

出展者はもちろんホームである日本が多いわけだが、
ドイツ、イタリア、アメリカ、イギリス、フランス、・・・
古くから工作機械の要素技術を培ってきた国が多い。

見学している来場者は、アジア圏の方が多いね。
通訳と一緒に回っている人も居るが、
英語などだけでなくカタコトの日本語でもがんばっている。

ある有名な工作機械メーカーが、
その社の装置を使った加工のコンテストをしていた。
正直、ぱっと見ただけではどういう風に造られたか
わからないほどのとてつもない作品たち。
#おめーにわかってたまるか!と思うでしょうねぇ(^^)

超硬合金を、ガラスを、セラミックスを、ゴムを、薄い箔を、
見たことの無い形や精度に加工してある。
何社も何社も何社も・・・・渾身の力作が並んでいる。
いやいや、そこにとんでもないパワーが込められていること
それは痛くて倒れそうなほど感じました。

じゃあ、こんな高性能の装置たち、
買って持って帰って設置したからって、
同じことが誰でもすぐできるものではない。

ものづくりというのはそういうもんさ。
使いこなす技量、思ってもみない加工、
見たことも無い素材にチャレンジすること、
造ると使うがすぐ近くにいることが、強みなのだ。

ホール中が機械の音と来場者の熱気で満ちていて、
少しめまいを感じて表に出る。

一端タバコを吸いに外へ出て、すぅっと頭をクリアにして、
もう一度会場内へ戻って、ハタと考えた。

この機械たちがここまでくる間、
少なくとも60余年間、この国は戦争をしていない。

もともと機械工業は、近代戦争と密接に関連してきた。
特に工作機械の原型は兵器製造のために造られたものが多かった。
今でも自衛隊の装備などは造られるが、
それがこの国の主力の産業ではない。

しかし今や、
ガンドリルはただ砲身を削りだすためだけの道具ではなく、
深い深いクーリングチャネルなどを正確に掘り出すためにあり、
5軸加工機は潜水艦のスクリューや弾頭を削りだすだけではなく、
高能率コンプレッサや発電タービンの改良や、
民生用自動車のエンジンやトランスミッション製造のために
ガンガン使われることが主力なのだ。

それに誇りを持ってもいいじゃないか。
ほとんどなんでも、とんでもない完成度で造る事ができる機械を、
とんでもない完成度で仕上げていくことができる人々が居て、
それを完璧に使いこなす数多くの人たちが住む国。

その改良と前進の原動力は、
決して(戦争の名において)「人を殺す道具を造ること」ではなかったのだ、
胸を張って言いたい、そんな気分になった。

そして、これを再び兵器のために使おうとしてもいけない、
造るだけならあっという間にできてしまう能力を持っているからこそ
それだけは絶対にやっちゃぁいけないんだ・・と思ったわけです。

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