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2008.03.15

Smoking area in Fab

その工場は
社会人になったばかりの私が配属された場所だった。
西日本のあるところにあって、海も山も近いが
梅雨の時期になると蒸して蒸して、しょうがなかった。

先週、出張で工場を訪問した際、
偶然にもその頃のことを思い出していた。

そのころ、まだ仕事を覚えている最中で、
生意気盛りでもあった僕ら新人は
現場の厳しさにこっ酷くヤラレながらも
毎朝、自家用車でこの工場の門をくぐった。

少し前まで学生か研究員、アタマでっかちで、
ちょっとルーズな生活態度が染み付いていた僕ら、
服装から装備から態度から、
「生産」という行為の想いの込め方と
「商品」を扱う厳密さも教わった。

慣れない僕らの唯一のほっとする時間は
定時に決められた休憩での喫煙所のひとときだった。
古参の先輩社員と無駄話をして交流を深める
よいチャンスでもあったね。

ここに来るような社員は、
一癖も二癖もある、ベテランが多かった。

少し訛りの強い西日本の言葉を覚え、
名産の旨い店を習い、時には一緒に繰り出した。

この工場にはそれからも何度か訪問していたが、
別の建屋にしか用はなく、あの喫煙所のドアを開けたのは
新人時代以来、久しぶりだった。

重い防火扉の向こうの
階段の上の、狭い喫煙所。
すぐに煙ってしまうが、窓からの斜めの光が角度を指して
時間と季節の流れを知らせてくれていた。

煤けた壁の色だけが時代の経過を教えてくれる。
この場所は、風景は、ずっと変らずにあったんだけど、
あれからずいぶん経ったんだなぁ。

この春で、この建屋は廃止・取り壊しが決まったんだそうだ。
ここには最新鋭の、ふたまわりは大きな設備ができるそう。
食堂のボロい椅子も、冷や汗をかいた会議室も
もうほとんど運び出されて、移設の準備に入っていた。

名残惜しくなんかないのだけれども、
ずいぶん前の光景を少し思い出したりして、
もう二度と訪れないこの喫煙所での時間を過ごし、
最後のタバコを吸ってみた。

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