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2009.08.16

(Re)Discover Japan

お盆です。

日本の歳時記「盆暮れ正月」のうちのひとつ、
お盆でした。

帰省ラッシュや登山客で満員で座れない
JR中央東線の115系に乗って、
甲州から多摩に帰ってきました。

笹子、小仏、何個かの峠をトンネルで抜けて
山並みと谷あいを縫うようにして中央東線は走る。

勾配に負けじと唸りを上げるモーターの音と
レンガ製のトンネルに反射する架線の青白い火花を見ながら
iPodに入っている富田勲の「新日本紀行のテーマ」を聴く。

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最近、「新日本紀行ふたたび」なんて番組をNHKがやっている。
富田勲さんのテーマを久しぶりに耳にすることになったのだが、
それが流れた瞬間に25年前にタイムスリップした感覚があった。

この番組/テーマそのものが、当時から日本の原風景を掘り起こすことを標榜していたらしいのだが、それとは並行して「番組を見ていた時間と空間」が、自分個人の原風景的な記憶の一部になっていることを気づかされる。

四半世紀前に実家や祖父母の家のコタツで見ていたあの風景。
記憶=原風景、というのは重層構造であることを知る。

「時は流れない、積み重なる」というキャッチコピーがあったっけ?

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115系は、車両のエアコン(いや、クーラーと言うべきか)に、
家電/重電メーカーの昔の傘型マークが残っていた。
昔の実家の電球や電気コタツや
直冷式の冷蔵庫によくあったロゴだな。

祖父の変なこだわりで、白物家電には
モーター付きは日立、電熱器は東芝、
(松下製は皆無だった・・・)
・・などなど、ジャンル分けがあったので
傘型マークは台所と茶の間のイメージだ。

ずっとずっと、この風景を見てきたように思う。
ノスタルジーでもなんでもなくって、あの頃からずっと、
日常はこうやって四半世紀にわたり、無事なのだ。

生まれ育った日常の安堵感と
115系の何気ない普段の風景は、
記憶の奥底で、しっかりととつながっていた。

あの頃から、その間、ずっとこの115系は
数え切れない人々を運んで峠を越えてきた。
今日も元気に走っている。

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お盆が来ると、改めて思い出す。

"あれ"から64年後の8/15も、僕ら平和に暮らしていられる。
自由に旅行や帰省をすることができる。
こうやってお盆に行ったり来たり、
電車に乗って移動することができる。

そんなこの国でずっと暮らして来れたことは
当たり前が当たり前と感じられることは
だいぶ幸せな事なんだと、思う。

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そのベースラインを確固たるものにしたのは
四半世紀よりさらに昔、120年ほど前だという。

駅の屋根を支える古いレールでできた支柱の中に
"UNION 1886"と刻印のあるものがあった。
ドイツ・ドルムントの製鉄所で造られたものだそう。
中央線(甲武鉄道)が開通した頃に
使われていたものを持ってきたのだろうか、
120年後も今も駅舎の一部を支え続けている。

さっき越えてきた笹子トンネルが完成したのは1902年、
正に巨大国家事業の一部だったという。

この道は、この鉄路は、一昼一夜にできたものではない。
そして造られたものを、長い間、多くの人たちが支えてきた。

時に不幸な戦争で痛めつけられながらも
捨てることなく維持されてきた、大切な遺産なのだ。

いや、遺産というには早すぎる、
だって今も現役で生きているのだから。

だから今日も、私も安心して乗って、峠を越えてきた。

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この国土を動脈のように走りぬけ結び付けているものは、
実は我々のみで成しえたものでもなく、
そのレールの刻印が指し示すように
世界中から呼んで運んできたものの集大成でもある。

そしてそこから学んだものを自らの手にして
地道に構築して発展して、今に至る。

かくいう私が2009年にしていることだって、
電車でなくクルマに乗るのならば、
アラビアの砂漠の下から掘ってきた炭化水素を精製して
ドイツ製の内燃機でちょっとづつ燃やしながら
イタリア製の軽金属に巻いた、フランス製のゴムで
路面をけとばしながら走っていくのだからね。

そうやって今も世界のあらゆる所から来たものが
この峠を支えたり越えたりしているんだな。

それが自分の日常であることは、
この地が平和だからできること、
ということを改めて実感する。

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何か忘れてないか?
私たちが生まれる前からあったものが
今日の自分達を支えていることを。

同じように、今、私たちが構築するものが、
まだ生まれていない誰かの
未来を支えるものになることを。

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気付くと、その四半世紀のうち
もう1/5の時間にわたって
ずっとこんなこと書いてる気がするよ。

このblogを書き始めて5年経ってる、
このエントリーでちょうど700本書いた。

たぶんね、
5年で変わったもの、5年では変わらなかったもの、
たった5年で壊れて(壊されて)しまったもの、
この5年で壊すべきではなかったもの。

これらを考え直す時期に来ているのだと思う。

115系に揺られながら、ずっとずっと考えていた。

この夏は、もいっかい、しっかり考えなきゃいけない夏、
今年の夏は考えて答えを出す夏になる。

私なりの、(Re)Discover Japan、
まずはその考えた答えを胸に、8/30を迎えよう。

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